ナンベイミミズ科 Glossoscolecidae

 25属200種を越える大きなグループです。Pontoscolex corethrurus 1種のみが世界的に広域に分布しますが、その他は全て中南米に分布します (Sims & Gerard, 1985)。

 

<形態>

 体型は円筒状。背孔はほぼ存在しない。剛毛は通常 2 本 4 対であるが、しばしば尾部では隣り合う体節で互い違いの配置になる (Pontoscolex)。なお、Periscolex はペリケータ型の多数の剛毛を持つ。環帯は鞍型で、第 14 体節付近から始まり、最大 12 体節を占める。雄性孔は目立たないが、環帯部分もしくは環帯より後ろにある。Eudevoscolex 属では雄性孔が2対。受精囊孔も目立たないが、通常対になり、精巣より前に存在する。砂嚢は第 6 体節にあり、石灰腺は第 7-14 体節に 1-8 対存在する。腸管は第 16 体節から膨大する。摂護腺を欠く。巨大腎管を持つ。

Pontoscolex 属

 南米原産のグループで、2亜属 (Pontoscolex、)が認められ、Pontoscolex 亜属には 9 種(主にグアテマラ〜スリナムを経てブラジルまで)、Meroscolex 亜属に 4 種(スリナム、フランス領ギニア、ブラジルにかけて)が存在しています (Righi, 1984)。Pontoscolex 亜属の分類は、剛毛の配置や受精囊孔の数と位置で決められています (Righi, 1984)。中南米以外では Pontoscolex corethrurus のみが帆熱帯に広く分布します。日本でもこのPontoscolex corethrurus 1 種のみが知られています。

 

 撹乱された環境でよく観察されていますが、浜辺にも生息することから耐塩性があり、海流分散している可能性が指摘されています。熱帯域ではこの種について様々な研究がなされていますが、この外来種が日本の亜熱帯地域の土壌生態系にどのような影響を及ぼすのか、全く分かっていません。そもそも、日本におけるこのミミズの分布範囲も分かっていません。早急に情報を収集し、その生態系リスクを明らかにする必要があります。

 

Pontoscolex corethrurus (Müller, 1856)

引用文献

Righi, G., 1984. Pontoscolex (Oligochaeta, Glossoscolecidae), a new evaluation. Studies on Neotropical Fauna and Environment 19(3): 159-177.

 

Sims, R.W., Gerard, B.M., 1985. A Synopsis of the Earthworms. Keys and notes for the identification and study of the species. Synopses of the British Fauna (A New Series) No. 31. Linnean Society of London and the Estuarine and Brackish-Water Sciences Association. 171 pp.